エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢を読んだ

前から読もうと思いながら読んでいなかった本書をようやく読んだ。

今の自分は日本の企業で疲弊しているわけでも、不満を持っているわけでもないのだがやはり海外は意識する。プロ野球選手が大リーグにチャレンジせず選手生命を終えて良いのか?と自問するように、一度も海外でエンジニアを経験せず人生を終えて良いのか?とふと思うことがよくある。海外で働くことを必要以上に持ち上げ日本で働くことを貶めるメディアやブログにも違和感を感じていたのが本書を読もうと思った動機となった。

概要

主な内容は以下のとおり。エンジニアの文書らしく日本との違い、メリット・デメリットがロジカルに書かれてて読みやすく好感が持てる。

  • 海外で働くことのメリット・デメリット
  • 自分は海外向きなのかそうでないのか?
  • 渡米方法・ビザの問題
  • 就職活動の方法
  • ホワイトボードコーディング面接の内容
  • 日本とアメリカでの働き方の違い
  • 転職を通したキャリアアップ
  • 解雇

感想

一言で言うなら「大変」。つまり理想郷はないってことかな。 良いことも悪いことも含め自分に合うかどうか?を冷静に判断すべきだと思う。 著者のおすすめは1枚の紙の左側にメリット、右側にデメリットを書いてメリットの方が多ければ選択するという方法。本当にそれはやってみると良いと思う。ちなみに自分はメリットの方が多かった。

おそらく個人差があると思うが日本人に取って一番の課題は、ビザの取得と面接だと思う。 育った環境や世代によるかもしれないが学校に違う人種の同級生がいたという経験のある日本人は多くない。自分がマイノリティーだという自覚がないのだ。また、ここに書いてある面接でのアプローチを実践するには少々訓練や準備が必要だと思った。英語だけでなくちゃんとCSを学んでいないのでアルゴリズム等の勉強も欠かせない。

全体的に読んで良かったし、書いてあることはもっともなことであったが違和感を感じたのは著者の加齢に対する認識だ。 海外は年齢差別がないのでそこがエンジニアの海外で働くことのアドバンテージだと個人的には思っていたのだが50歳以上でエンジニアでいることへのリスクや問題の記述がいくつかあった。日本のように履歴書や一時面接の段階で採用対象外になるのではなく、ずっと最前線で働くことは大変で、変遷していく技術をキャッチアップし続けることはアメリカでも難しく年齢が高くなるとそれが萎えてくるという意味だと自分は解釈した。

この書籍は著者の経験をベースに書かれてあり、それがリアルで良いものになっている。根拠のないメディアの記事を読んで鵜呑みにするよりは本書を何度も読み返した方が海外で働く夢への原動力となることは間違いないと思う。

個人的には、著者があまり経験していないスタートアップやアメリカ以外ではどうなんだろう?と疑問は残った。